断乳を迫られた時 2006:10:04:19:52:19
●断乳…母親側の都合で授乳継続をやめること。
●卒乳…子供側の意思で授乳継続をやめること。
……今では、この2点の違いは大体の方がすでにご存知かと思います。
そして、これまでは断乳が主流でしたが、母子手帳から「断乳」という言葉が消え、卒乳を待つという選択をする人も少しずつではありますが増えてきているようです。
私自身も、長男が2歳を迎えたころ、二人目を妊娠しましたが、私にとっても息子にとっても、当時置かれている状況の中、授乳が大切な役割を果たしていると考えため、本人が求める間母乳を与え続けました。
「3〜4歳まで長期授乳をしている子供は、甘えん坊になる」というのはもはや時代遅れな発想であり、卒乳で育った子供は、断乳した子供よりも自立心が旺盛であるというデータも、実際あるそうです(ラ・レーチェリーグ調べ)。
しかし、こうした流れの中で、「断乳を選択するということは、子供のためにはならない、誤った選択なのか」という発想も生まれなくはないでしょう。果たしてそうなのでしょうか。
私は、母子手帳から「断乳」の2文字が消えたことによって、皆が皆、卒乳を選ぶべきとは考えていません。そして是非、こう考えて頂きたいと思います。
『選択範囲が広がった』……と。
今までは、1歳を迎える前後には必ず断乳すべき、と、見えない圧力がかかっていたわけですが、母親と子供が必要と思うなら、1歳を過ぎても授乳を続けるという選択もあるのだよ、という風に変わったのです。
上に挙げた、ラレーチェリーグのデータについても、私としての解釈は、『卒乳をした子供のほうが優れている』ということではなく、あくまでも“長期授乳に対する偏見”をなくす結果が出た、ということだと思っています。
現実問題、長期授乳を希望していても、かなわないこともあるでしょう。
仕事をしながら授乳を続けたかったけど、職場環境や勤務体制、母親自身の体力の問題等でどう考えても困難だという場合。
母親自身が入院を余儀なくされた場合。などなど…
これらの場合でも、母親自身が強く望みさえすれば、いかようにでも授乳を続けることは出来るとされていますが、周囲の理解・協力も必要不可欠であって、今の日本の事情だと、なかなか思うようにはいかないかもしれません。
また、そうでなくとも「断乳を乗り越え、子供が大きく見えるようになった」という声も聞かれます。
要は、断乳・卒乳どちらにしても、最終的にはママと子どもが納得する方法を検討・選択することが重要であり、医者や栄養士・保健婦、周囲の身内・友人が「こうしなさい、ああしなさい」と意見するのではなく、本人同士がどちらにするかを決めることが、後悔をしないためにも大切だと思うんです。
今、あなたがもし、どうするべきか迷っている真っ最中であったとしたら、それぞれについての情報(体験談等)を十分に集め、自分たちの置かれている状況と照らし合わせ、二人にとってどちらを選択するべきか、じっくり時間をかけて考えてよいと思います。どちらを選択しても、決して間違いではありませんから。
さて、断乳に抵抗がない場合、もしくは母親自身が断乳を望んでいる場合はともかく、「出来れば長期授乳で卒乳まで付き合いたい…」と考えている場合、断乳の選択を外部から迫られるシーンに直面し、困惑することもあるでしょう。
果たして、それはどんな時で、本当に断乳をする必要があるのでしょうか。
特によく耳にする(目にする)項目を挙げてみました。
- 母親自身が風邪やインフルエンザにかかった時
- 子供の食が細い・むら食い
- 虫歯が心配
- 職場復帰をするとき
- 母親または子供が入院をするとき
- 妊娠をした
- 母乳の栄養は1歳過ぎると薄くなる、まずくなると言われた
- 精神面での発育に問題が出ると言われた
…結論から申しますと、いずれも断乳をする必要はありません。
「1」については、母乳を介して子供に菌がうつることを心配する方がいるようですが、そうではなく、実際は子供は母乳から免疫を得て、うつりにくくなるのだそうです。
また、子供がぐずった時、添え乳や楽な姿勢での授乳をすることで子供も安らぎ、母親自身も体を休めることが出来ます。
また、別の心配として、この時に服用する薬の影響なのですが、よほど特殊な病気でない限り、医師に授乳中であることを告げることによって、母乳に影響の少ない種類のものを処方されるのが普通ですので、ここで医師によって断乳を迫られるのはナンセンスです。
ただ、頭では分かっていても、どうしても薬の影響が心配だという場合や、軽い影響(湿疹・不機嫌などの副作用)がある場合は、服用前に授乳を済ませてしまうようにするとよいそうです。
薬等の血中濃度のピークは、服用から30分〜90分だそうなので、その間に授乳タイムにならないように気をつければ問題ないでしょう。
「2」については、『離乳食について』も参考にして頂きたいのですが、ほんの一時的なことで、心配しすぎるには及びません。また、実際それが理由で断乳を決行したものの、それほど食欲に変化はなくがっかりした、という話もあります(私の義姉です)。必ずしも母乳のせいではありません。
2歳くらいまでは、母乳が中心でもそれほど問題はないそうです。事実、エスキモーの人々などは離乳食という習慣がないためそうやって育てられているとか。
うちの子も、1歳半くらいまではご飯は大さじ1杯が限度、その他も刻んだトマトやヨーグルトなどを食べる程度で、一体どこから栄養取ってんだ?と思うくらい食べない子でしたが、2歳になった今、ウソのようにモリモリ食べます。
「3」について、私がこのページをUPするきっかけでもあります。
歯科医師の多くは、1歳を過ぎたら虫歯予防のために断乳を勧めます。しかし、母乳に含まれる糖(乳糖)は、虫歯にはなりにくく、しかも「ラクトフェリン」という抗菌物質がむしろ虫歯を防ぐ役割を果たしているのだそうです。
虫歯を心配するならば、母乳を止めるのではなく、普段の食事に含まれる砂糖などを気をつけてあげることと、歯磨きに気配りをすることのほうが重要です。
「4」「5」の2点、これは一番難しいところかもしれません(何しろ私、経験ないもんで…)。
ただ、現実に仕事をしながら搾乳し、朝晩だけ直接授乳しているママさんはたくさんいますし、入院生活を経ても授乳は続いているという方もいます。
特に1歳前の子の場合、離れている間に搾乳を飲ませることが困難な場合は、ミルクに頼っても構わないでしょう。離れている間は、なるべく搾乳をして分泌量を維持し、朝晩、もしくは退院後などにもう一度おっぱいカップルに戻れればよいのではないでしょうか。
「6」についても、受診した産科で断乳を勧められることが多いようです。
ただ、授乳が原因で流産・死産する確証はなく、実際次の子が生まれてから兄弟でおっぱいを飲む(タンデム授乳といいます)ということも出来ます。
授乳の際にお腹が強く張る、出血がある、未熟児を出産したことがある、妊婦自身の体重の大幅減少等、医学的にやめなければいけない状態でなければ、望むだけ授乳を続けて構わないと思います。
また、逆に妊娠中の授乳によって、卒乳を迎えるケースも多いとか。よいきっかけかもしれません。
「7」「8」においては、問題外・迷信と言っても言い過ぎではないでしょう。
まったく母乳育児を止める理由にはなりません。
「7」については、母乳育児の権威でもある、故・山内逸郎先生が研究された結果、生まれて間もない子が飲む母乳と、大きな子が飲む母乳に含まれる栄養に変わりはなく、むしろ大きな子が飲む母乳のほうが栄養価が高かったということが分かっています。味についても、月例とともに変わるものではなく、あくまでもママの体調・食事による影響によるものです。
(妊娠すると、母乳の味が変わって飲まなくなり、そのまま卒乳した、なんて話もありますよ)
「8」については、↑の項で挙げたラ・レーチェリーグの調査で十分でしょう。
そもそも、生まれて数年しか経っていない子供が甘えん坊で何が悪いのでしょうか。それは断乳だけが本当に解決方法なんでしょうか。
甘えるべき時期に、たっぷりスキンシップをして愛情を受けて育った子は活発で自立しているといいます。
……あえて付け加えておきますが、ここで私が言いたいのは
上に挙げたシーンに直面しても、決して断乳してはならんぞっ!卒乳万歳!ヽ(`w´)ノウケケケッ
ということではないですよ(^_^;)
そもそも私自身が、長男にはこの記事を最初にUPした後、断乳という選択をしましたから。
理由は、タンデム授乳に疲れてしまったからなのでありました。
あくまでも、ママ自身、お子さん自身が授乳継続を必要とし、望んでいるなら、↑のようなことがあっても、焦って断乳を選択することはないですよ、ということです。
せっかくの楽しいおっぱいライフのゴールですから、後悔のない形で迎えましょう♪
【参考】
⇒母乳と薬
お薬110番 >> 妊娠とくすり
おっぱい育児WEB >> 妊娠・授乳中の薬の服用
⇒母乳と虫歯
伊勢崎市 >> 健康管理課 >> 虫歯予防情報
⇒妊娠と授乳
改訂版・だれでもできる母乳育児(メディカ出版)ラ・レーチェリーグインターナショナル
シアーズ博士夫妻のベビーブック
⇒卒乳についての話が得られます
改訂版・だれでもできる母乳育児(メディカ出版)ラ・レーチェリーグインターナショナル
おっぱい育児WEB
お産とおっぱい楽しく行こうよ!
⇒たくさんの方の断乳体験談が得られます
新米ママのおっぱい入門
(2002.09.26 記) 2006.10.04一部修正・加筆
- 故・山内逸郎先生について
- 国立岡山病院名誉院長であり、母乳哺育を成功裏に開始するための必要十分な条件を「山内3.5カ条」としてまとめるなど、日本の母乳育児・未熟児医療に多大な貢献をされました。
生前に残された数々の著書は、大変参考になります。
▼詳しくはこちらをご参照ください▼
「おっぱい育児WEB」内「山内逸郎先生記念室のこと」
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