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母子別室制・同室制 2006:10:24:10:21:52

[ お産 ]

私は、母子同室制しか体験をしたことがなかったし、身近な人を産後お見舞いしたときもみな同じ部屋だったので、それが当たり前とばかり思っていたのですが、現在の産院のその多くは別室制を取り入れているらしいですね。

母子別室制というのは、産後の入院生活約1週間の間、母親は病室、新生児は新生児室で別々に過ごし、決められた時間に決められた時間内で授乳室というところでおっぱいをあげる…というのが主なスタイルのようです。
中には、赤ちゃんが泣くたびに病室へ知らせてくれるという融通を利かせてくれるところもあるようですが…

別室制が取り入れられた背景は、「正常経過での医療介入」でも述べたとおりです。
しかし、当のアメリカではそれまでの経験から、母と子の接触機会の減少を招くことと、母乳育児の重要性が再認識され、やがて同室制が勧告されるのですが、当時の日本は占領下という事情もあり、十分検討されることもなく、一斉に別室制を取り入れることとなったのです。

現在、産院の多くが別室制を取り入れる多くの理由については、次のようなものが主となります。
(参考:『母性を育む』)

  1. 少ない看護要員で能率的な看護が可能(施設運営面で経済的・人事面で有利)
  2. 定期的な主治医の診察、看護要員の目が届きやすい、などの理由から、新生児の異常を発見するチャンスが多いといわれる
  3. 面会者から新生児を隔離し、外部からの細菌やウイルス類の感染を防止
  4. 大部屋の場合、同室者に気を使わなくても済む
  5. 母親によっては、赤ちゃんに気を使わずに済むので、自分の生活リズムで眠ったりすることが出来る
  6. アメニティー(快適性)を重視する母親には一般的に好評

……さて、いかがでしょう。どんな感想を持たれましたか?客観的に見て考えてみてください……“赤ちゃんのため”と思われる項目はいくつあるでしょう。

ちなみに、異常発見に関しては確かにプロが付いていたほうが有利のようにもみえますが、看護要員の方々の仕事は、赤ちゃんを24時間監視するだけではありません。他にも色々あります。
下手をすると、新生児室に看護士さんが一人もいない状態もあるでしょう。実際私はそういう現場を、とある病院で見てしまいました。
同室のほうが、母親が常に赤ちゃんのそばにいるために、早く気付く方が多いようですし、医療者側が配慮し、注意することでも十分防ぐことも出来るでしょう。

また、猫や犬などを飼っていて、出産を経験したことのある方なら何となくイメージできるかと思いますが、少なくとも動物は、出産後すぐに母親から赤ちゃんを引き離すということはしませんよね。
動物園などの出産ドキュメンタリーを見ている限りでは、人間が干渉しすぎず、母親が赤ちゃんに対して身体を舐めるなどの行為をするかどうか、ただ見守るだけ…そうでないと、母親が自分の子を認識することができずに、育児放棄に繋がることもあるのだとか。
そして、人間が介入するケースは、それでも母親が赤ちゃんに関心を示さず、赤ちゃんの命に危険が迫ったとき…

そういえば、最近動物園でも育児放棄する動物がポツポツと増えているようですね。
考えられる原因が、自然の中と違い「子育てを学習」する機会がないからではないか、とのことですが…あれ。ヒトの場合と似ていませんか。

これまで「母親サイド」を中心にお話してきていますが、母子関係に問題をきたすのはお母さんだけではありません。

“サイレントベビー”ってご存知ですか?

静かで表情が乏しく、あまり泣かず、目の輝きに母親を強く求めようとするものに欠けている、いわゆる「物言わぬ赤ちゃん」です。
その過程について、「分娩直後と赤ちゃん」に出てくる、お産を乗り切る時の様子から更に想像してみてください。

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居心地のいい子宮から、慣れない不安だらけの世界へと生まれ出てきたときに、連れて行かれるのは新生児室。
この新しい世界では、生きる術は全て外界にゆだねた状態です。
聞きなれた優しい母親の声、子宮の中で味わった温もりはなく、ポツンと取り残され、泣いて何かを要求をしようが、誰も相手をしてくれず、たまに知らない誰かがオムツを取り替えたり、決められた時間のみ、母親のオッパイとご対面。
しかし、まだ上手に吸えないと、ありつけないまま再び引き離され、ゴムの乳首で牛の乳を与えられるのみ。
しかも、病院によっては、誰かに抱かれて与えられるのではなく、タオルやベッドに哺乳瓶を支えて飲ませるところだってあります。
静かな目覚めのひと時でも、母親はもちろんのこと、それに代わる人は誰も現れず、応じてくれない無視された状態……

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あなたがこの赤ちゃんと同じ扱いを受けたなら、その新しい世界にどういう印象を持つでしょうか。
自分に好意的に感じますか??
私だったら、……グレる(苦笑)。

こうして別室制を強いられた赤ちゃんの多くは、心を閉ざしてしまい、例え相手が自分の母親であっても、目を合わせようとしなくなってしまうそうです。こうまでなってしまいますと、“サイレントベビー予備軍”ということになりかねません。

その後、家庭に戻って十分スキンシップをとった生活を送ることが出来れば、それ以上悪化することはないでしょう。
しかし、その新生児室での様子を見た核家族の母親が、万が一「これが赤ちゃんの扱い方」と誤解し、そのままノウハウを教えてくれる相談相手もいない家庭に持ち帰ったら……。

ただ、ここで申しあげておきたいのですが、万が一お子さんがサイレントベビーと判断されてしまったとしても、気付いた時点で積極的に関わることで改善されるということは、覚えていて頂きたい点と思います。

積極的に、といっても勿論終始抱いて話し掛けて…と、無理をすることはありません。「抱き癖?」のページをご覧頂いた上で、無理の無い程度に構ってあげることでよいと思います。
場合によっては、しばらくの間実家など頼れる場所に厄介になって、子どもの世話に専念するのも良いでしょうね。

 

現代は、育児体験が殆どないまま出産・育児に臨む女性が多くを占めているという話は前にしていますが、上のような不幸が重なった場合、少なくとも赤ちゃんだけでなく、ママだってマタニティーブルーに陥るのは必然的ともいえるでしょう。

「多かれ少なかれ、誰にでもあることです」

なんて育児事典などにはあっさりと書かれていますが、そんなの当の本人には何の慰めにもならないものです。
つか、私だったら

「だからどーしろってのよ(怒)」

って思うに違いない(^-^;)
そうなる前に、24時間×6〜7日間貴重な実習タイムが設けられているのが、同室制ではないでしょうか。
先生や、看護士さん、助産師さんにいつでも気軽に相談出来る環境の中で、相談をしながら、育児の基礎を学びながら、少しずつ自信をつけることが出来ます。
ここで妊娠期以上に医療者側とも信頼関係を更に深めることで、退院直後も頼れるでしょう。

おまけにその醍醐味は「好きな時に好きなだけ我が子を眺めていられる事」でしょうか♪
日に日に、愛着も湧いていくし、機嫌よく目を覚ましているときに、お話すると見つめてくれたりなんかして、これはもうなにものにも替えがたい楽しみです。

また、母子同室制の大きな利点といえば、母乳確保でしょう。

常に同じ部屋にいるわけですから、頻回授乳が容易であり、赤ちゃんに対する愛着も深まることで、母乳促進効果のあるホルモン・プロラクチンの血中濃度を高く保つことが出来ます。
ここから見る別室制のデメリットは、規則的な授乳・赤ちゃんと離れ離れによる情緒的因子の低下でプロラクチン分泌も減ります。
そこで、乳房マッサージが施されるわけですが、残念ながらマッサージそのものにはプロラクチン増加は微々たる物、期待は殆どできないそうです。しかも、それが痛かったりすると、ますます母親側の母乳育児に対する気持ちが否定的になってしまうこともありそう。
授乳によりプロラクチン以外にも、オキシトシンというホルモンが分泌されますが、これは母乳の分泌促進のみならず、子宮復古という重要な役割も果たします。

母子同室制で更に望ましいのは、家族の面会が許可されること。
赤ちゃんが、母親だけでなく父親・きょうだいとの時間も持てるということは、退院後の家庭生活において、プラスになると思います。
別室制の利点としてあげた「感染の防止」ですが、これも現在様々なことが分かり、むしろ院内感染をもたらすのは別室制という見方も出てきています。
分かったことというのは、母親との共生生活で健康あるいは病原性の低い(無害・毒性の程度はおおむね軽いもの)細菌類をもらい、それらに対する抗体が胎盤や母乳中から経由して得ているため、自然の防御システムで身を守っている、という知見です。

また、母親側から懸念されるのが「ゆっくり休めない」というあたりかもしれません。
確かに、連日の頻回授乳は睡眠不足感をもたらし、ぐったりしてしまうものです。
しかし、妊娠後期、特に予定日間近の頃から妊婦は、夜も細切れ睡眠になり、まとまった睡眠がなかなか出来なくなります。
これは、産後の頻回授乳に備えて体がリズムを作っているのだそうで、真の睡眠不足にはなっていないのだそうです。
どうせ入院中は、赤ちゃんのお世話以外にすることはありません。赤ちゃんが寝ているときに休んで、泣いたら世話をする。産後の回復は充分補えます。

…この点は、私も恵まれていたなぁと思います。そして、夜間も面倒を見ようと思ったことが、後の母乳分泌確保にも繋がったのだろうし、対面後の違和感も薄れたのだろうし…。

但し、同室制と一口に言っても、病院側のルールをしかれた特殊なものもみられるようです。それにより、必要以上に疲れを感じ、「同室制はこりごり…」なんてことになりかねません。
例えば、病室の外にある体重計での授乳前後の測量の義務・授乳間隔一定の義務・何故か同室なのに、授乳は授乳室で、昼は同室なのに夜間は別室…などなど。

その辺の体験談を、REBORNヒューマン・バース・パークで見ることが出来ます。

お産をする前に、そういったところを前もってチェックし、希望通りでなければ思い切って相談をして話し合いをするのも時には必要でしょう。

(2002.11.25 記) 2006.10.24 一部修正・加筆

参考:『母性を育む―ソフロロジー式出産と母乳育児』…日本評論社 岡村博行・著
   REBORN…女性主体の優しい妊娠・出産・母乳育児を支援する情報サイト

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 '06.10.24(火) 10:21
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